医療費や税金が戻るとうそをつき、ATMから送金させる「還付金詐欺」を防ぐため、東京都内の5カ所の無人ATMに、携帯電話を圏外にする機器を警視庁が設置した。被害者が犯人から電話で指示され、言われるまま操作するケースが多いためだ。警察による設置は全国初。設置数を増やし、金融機関に導入を促すという。
今年2月に還付金詐欺の被害に遭いかけた東京都の40代女性は「携帯電話が使えなければ、私のような経験をせずに済む」と機器の普及に期待を寄せる。
朝鳴った電話、矢継ぎ早の指示
自宅の電話が鳴ったのは午前10時ごろ。区役所職員を名乗る男は言った。「還付金約2万円の申請がお済みでないようですが」
区役所とやり取りしていた相続関係の電話と勘違いした。「指定のATMで手続きしてください」「到着したらお電話ください」。矢継ぎ早に指示された。
約20分後に自宅近くのATMで男に電話をした。「キャッシュカードを出してください」と言われた直後、警戒中の警察官に声をかけられ、電話をかわると切れた。「警察官がいなければ大金がなくなっていた。言いくるめられて振り込む人も多いと思う。機器の設置を進めてほしい」
還付金詐欺は特殊詐欺の一類型。主な手口は、自治体や税務署の職員を装って被害者に電話をし、医療費や税金の過払い金を返すと説明してATMに誘導。現金を受け取れるよう勘違いさせ、逆に犯人側の口座に送金させるものだ。警視庁によると、被害の7割は無人ATMで起きているという。
今回導入されたのは、携帯電話を圏外にする機器。通話を不能にする電波を発する仕組みで、犯人との通話を絶つ。10月に5カ所の無人ATMに設置し、試行を始めた。いずれも実際に被害があった場所だという。
コストは高額も、被害総額に比べれば…
年間コストは1カ所約100万…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル